かぶの基礎知識

 

日本で古くから親しまれてきた野菜のひとつががぶです。かぶ(カブ、蕪)はアブラナ科アブラナ属の越年草で、根菜類では代表的な野菜です。別名が多いのも特徴で、カブラ、カブナ、カブラナ、スズナ(鈴菜)などいろいろな呼ばれ方をしています。

 

もちろん、かぶは日本だけではなく、世界中で栽培されています。分類上では、アフガニスタン原産がアジア系で、中近東~地中海沿岸原産がヨーロッパ系と2変種に分類されています。

 

かぶの歴史は非常に古いのですが、ヨーロッパでは普及するようになったのは16世紀からと遅く、それも飼料用途が多かったとされています。日本では、古事記や日本書紀にも記されており、西日本の京野菜などで見られる中国伝来のアジア系は重用され、東日本でのヨーロッパ系(野沢菜など変種も含む)も利用されていました。日本はかぶに好意的だったわけです。

 

食材としては主に肥大した球形の根を利用しているわけですが、実はこの部分は発生学上では「胚軸」という部位で、本当の根ではないのです。本当の根は下に伸びたひげ状の部位であり、ここは食用にせずに切り捨てています。ただし、漬物用(日野菜)、薬味用(遠野蕪)などの品種は、この胚軸が長く伸びます。

 

この胚軸はご存知の通りほとんどが白色ですが、赤色で赤かぶと呼ばれるものもあります。また、かぶではないのに、根が太るという特徴から、類似の形態の野菜が「かぶ」の名をつけていることがあります。「ハツカダイコン(赤カブ、ダイコンの変種)」、「食用ビート(血カブ、アカザ科テンサイの変種)、「野沢菜(カブナ、別変種)」などがそうです。